リンカーン・ライムシリーズ。原題は「The Cold Moon」。これは邦題のほうがいいかな。読み終わっても原題の意味がピンとこなかったので。
これまで同様、どんでん返しの連続で最後まで楽しめるのは相変わらず。全体的な完成度としては「ボーン・コレクター」には劣るものの「魔術師」と並んでトップ3に入る出来栄えではないかと思う。ただ「魔術師」のときにも書いたのだが、どんでん返しさせすぎじゃないの、というのは否めない。
せっかく前半使って話を丹念に進めているのに、後半も最後のほうになってバタバタとどんでん返しするものだから、話の書き込み具合がどうしても前半にくらべて軽く感じてしまう。どんでん返しは鮮やかなのを 1,2回決めてくれればそれでいいよ、と個人的には思う。
途中、ウオッチメイカーの精密性があまり関連なさそうな方向に話が行きかけて、「おいおい話の前半はなかったことにするのか」と思ったけど最後にきちんと戻ってきてくれてほっとした。
11月には文庫化されるらしいので、それを待って購入するほうがいいかも。