経営学の最前線について。経済学ではなくて経営学。
平易な文章で書かれているので非常に読みやすい。しかしなあ、自分が経営学についてどちらかというと穿った見方の立場なので、経営学って本当に役に立つのか、と言われるとこの本を読んでもよく分からなかった。実際、この本で紹介されているトピックスを見ても、直感的にそうだよなと思われる話を理論的に裏付けようとしているだけで読んでいてさほど面白くなかった。
で、面白かったのは最終16章。ここでは著者自身「経営学は本当に役に立つのか」という問いかけに対して回答しようとしている。著名な経済学者のドナルド・ハンブリックが指摘するところ、「経済学は理論偏重で実際の現象を軽視しすぎている」そうだ。
一般的には現象と現象の間に統計的な相関があれば、たとえ理論的な説明が(その時点では)つかなかったとしても十分有益であると思うけど、経済学はその辺あまり重要視していないらしい。
悪く言うと頭のいい人の単なる言葉遊びになってしまっているところもあるのかなあ。成熟した学問分野になるまでにはもう少し時間がかかりそうな感じを受けた。