失敗の本質 日本軍の組織論的研究

丸善をブラブラしてた時に面白そうだったので買ってみた。大東亜戦争における日本軍の 6つの失敗例、ノモンハン、ミッドウェー、ガダルカナル、インパール、レイテ、沖縄のケースを詳しく分析し、失敗の本質そして未来への課題を導きだしている。

日本軍の組織的な欠点が徹底的に分析されており、そしてそれらが現代の日本でもそのまま当てはまってしまうのが非常に面白く、悲しくもある。以下簡単なメモ。

  • 日本海海戦の成功体験により、時代は空母を中心とした航空機決戦に移行しつつあったにもかかわらず、艦隊主義(大艦巨砲)に固執してしまった。→これはイノベーションのジレンマみたいなものか。
  • 結果よりも、動機・プロセスを評価する。→ 残業・徹夜が高評価。まあこれは失敗したときの言い訳に使いやすいというのもあるかも。寝ないで頑張ったんだから許してくれみたいな。一般的に言って評価の高い順に
    • 残業して成功
    • 残業して失敗
    • 残業しないで成功
    • 残業しないで失敗

な感じがする。2番目と 3番目は明らかに逆だろう。もっというと 3番目が一番評価されてしかるべきなのだが。

  • 人的ネットワーク、すなわち人間関係に極端に偏重した組織構造。→ 人間関係は確かに重要だけど、それとこれとは分けて考えるべきだよな。
  • 論理的思考よりも、情緒的思考を優先。→ 場の空気最優先。KYみたいなもの?。
  • 失敗から学習し、フィードバックするという文化がない。→ よく「一から出直します」みたいなコメントを聞くけど、まさにこれか。全部忘れて最初からやりなおす。経験がまったく生かされない。まあこの発言には「(というような謙虚な気持ちで頑張ります)」みたいなニュアンスもあるけど。
  • 戦略オプションが少なすぎる。→ 場当たり的でも対応できればましなほうで、大抵は最初に決めた戦略で押し通し、大損害を与える。
  • 高級将校が無能。ソ連第一集団軍司令官ジューコフの言葉が印象的。「日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」→ これは日本ではマネージャは名誉職だから。組織的にマネージメントするという文化がないから、もちろん正しい評価基準もない。

こんな感じか。

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